お正月飾りにも使われる南天を「盆栽で楽しみたい」と思っていらっしゃいませんか?
南天の赤い実は、植物界で少し寂しくなる冬場にパッとした明るさをくれます。
また、「難を転ずる」として縁起物ともされる南天ですから、盆栽として楽しみたい方も少なからずいらっしゃるでしょう。
南天の盆栽は、プレゼントにもよさそうですね。
「南天の盆栽はどう育てればいいの?」「南天を実から育てることはできるの?」という方に向けて、南天盆栽の作り方/育て方についてご説明します。
南天とは?どんな特徴があるの?
南天は、西日本から南のエリアでも自生している常緑低木で、盆栽としてとても育てやすい樹種です。
花は白、一つひとつは小さいものの、元気のよい株なら多くの花をつけますので、迫力さえ感じます。
どちらかというと半日陰を好みますし、肥料もさほど必要としないので、室内(日の入る窓際)で育てることも可能です。
実は赤いものが良く見られますが、黄色っぽい「白南天」という品種もあります。
南天は乾燥に弱いので、水切れには注意が必要です。
南天盆栽の季節ごとの日常の世話
南天は育てやすいとはいえ、やはり季節に応じた世話が必要です。
ここからは、季節ごとのお世話の注意点について解説します。
南天の盆栽の世話【春】
3~5月、常緑樹とはいえ南天の葉が一部落ち、成長期に入ります。
乾燥に若干弱いので、水切れさせないよう、用土が乾いたらしっかり水をあげましょう。
鉢の置き場は、屋外なら1日のうち数時間日が当たる場所に、室内なら日差しの入る明るい場所がベストです。
南天の盆栽の世話【夏】
6~8月、南天のお世話で一番重要なのが水やりです。
比較的育てやすい樹種とはいえ、水切れしてしまうと弱るのは当然ですし、実のつきが悪くなりますので注意してください。
用土が乾き始めたと感じたら、たっぷりと水をあげてください。
南天の盆栽の置き場は、室内でOKです。
屋外で育てる場合、花が咲いている間は雨がかからない場所に置きましょう。
雨の影響を受けない場所が見つからないなら、雨の日はビニールをかけるといった工夫で花を守ります。
花粉が流れていってしまわないようにするためです。
基本的に直射日光を嫌いますので、その点からも、できるだけ軒下に置くようにするとよいでしょう。
南天の盆栽の世話【秋】
9~11月、南天のお世話で特に注意することはありません。
とはいえ、やはり水切れしないよう用土の状態を毎日観察してください。
実をつけはじめる頃に入りますので、花が咲いた部分に不要に触れないようにしてください。
南天の盆栽の世話【冬】
12~2月の冬もまた、南天のお世話での注意点は多くはありません。
一つだけあるとすれば、用土の凍結で根が浮いてしまわないようにすること位です。
屋内で育てることもできるほど、強く日光を求める樹種ではありませんので、鉢ごと室内に持ち込むことで用土の凍結を予防すればよいでしょう。
室内で育てる場合、明るい窓辺に置いてください。
そして、用土が乾いたらたっぷりと水をあげるようにしてください。
南天盆栽の年間の手入れ
初心者にも育てやすく、室内でも育てられる南天ですが、季節ごとに特定の手入れは必要です。
特に盆栽の場合、シルエットを整えるための剪定や、根が張りすぎたときの植え替えなどが重要です。
シーズンやタイミングごとの手入れについてご説明します。
南天の手入れ【病気/害虫】
水を好み、葉も多く茂る南天は、モザイク病やカイガラムシによって引き起こされるすす病が心配です。
年間を通して葉や葉の裏、枝を観察し、異変がないかを確認してください。
もしも葉に異変が見られたら、それに対応した薬剤で菌や虫を駆除する、傷んだ葉を切り落とすといった手当てが必要です。
カイガラ虫と思われる虫を発見したら、次のような商品でムシの成長を止めながら、歯ブラシのような柔らかな毛のものでムシを取り除きましょう。
南天の手入れ【植え替え】
南天の盆栽は、2年を目安に3~4月に植え替えをします。
根詰まりによって用土に水が入っていかない、花や実が育ちにくくなるという問題を回避することが目的です。
必要なものは、小粒の赤玉土、腐葉土、黒土で、それぞれ4:3:3の割合がベストとされています。
それぞれの土を用意するのが難しい場合、同等の割合でブレンドされた用土を見つけて購入してください。
たとえば、次のような土がおすすめです。
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南天盆栽の植え替えについては、次の動画が参考になります。
南天の手入れ【剪定】
南天の剪定の適期は、2~3月です。
葉が多いことから起きやすい病気を予防するためにも、剪定はとても大事です。
剪定するところは、「実の付いた枝」です。
というのも、一度実の付いた枝は、数年花を付けず、実もならないからです。
他に、既に枯れているように見えるやせ細った枝があれば、幹ギリギリのところから切り落としてしまいましょう。
この方法は、南天の健康状態を維持するための剪定方法ですが、他に「ここは伸びすぎておかしいかな」と思う枝があればカットしてください。
高さを抑える剪定は「切り戻し」といい、6月頃が適しています。
花が咲き終わった枝の、脇芽のすぐ上や、枝分かれしているところからカットすると、切り戻しによる立ち枯れを予防できます。
南天の手入れ【施肥】
南天は、基本的に肥料を求めませんが、盆栽(鉢植え)の場合は、植え替えと同時にリン酸を含む肥料を用土に混ぜ込みます。
花付きが良くなり、結果的に実も付きやすくなりますので、リン酸を含む肥料は植え替えと同時に使いましょう。
リン酸を含む肥料には、次のようなものがあります。
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南天を増やす方法
実が多くなる南天ですので、「実を使って南天を増やしてみたい」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
南天を増やす方法は、実を使うだけでなく、カットした枝を使う方法もあります。
それぞれについてご説明します。
実を植える
11月頃、南天の実は熟しています。
実を採取し、果肉を取り除いた後、そのまま用土に撒きましょう。
発芽し、双葉の後に出てくる本葉が4~5枚出てくるまでは、決して水切れさせないようたっぷり水をあげてください。
ある程度の高さになり、花をつけるまで5年ほどかかります。
置き場所や水やり、病気に気を付けながら成長を待ちます。
花が付くまでは、まだひ弱な段階です。
花が付くようになれば、南天も「一人前」。
腐葉土を含む用土を選び、根を傷めないよう丁寧に植え替えをしましょう。
挿し木
庭木として植えられている南天から、15センチほどの長さの枝をカットし、挿し木をしてみてください。
挿し木のもととなる挿し穂は、カットした後数時間水につけます。
そして、南天に適した用土に割りばしなどで穴をあけ、挿し穂を埋めます。
3カ月ほどすると、発根しているはずです。
上手く発根していないことも想定して、何本か挿し木しておきましょう。
根が上手く出ている挿し穂を鉢に植え替えれば、新しい南天盆栽の出来上がりです。
発根を促すための植物用薬品も売られていますので、使ってみるのもよいでしょう。
まとめ
南天は、縁起を担ぐにも、冬の華やかさにも有利であるだけでなく、盆栽初心者にも向いている樹種です。
「初めての盆栽」「冬の室内を明るく彩りたい」という方におすすめです。
南天の世話の中心は「水やり」。
そして、病気や虫の予防です。
これは他の盆栽でも同じことですので、盆栽の基礎を身をもって体験したい方にとっては魅力的ですね。
育てやすい樹種である南天は、植物に興味を持ち始めた方へのプレゼントにも最適。
ぜひ一鉢、入手してみてはいかがでしょうか。