ケヤキといえば、街路樹に選ばれることの多い樹種ですので、あなたも多く目にしていることでしょう。
もちろん、ケヤキの盆栽も売られています。
ケヤキは、春先の新芽・新緑から、夏は濃い緑を、秋には紅葉を楽しめますので、四季を感じられる樹種といえるでしょう。
「ケヤキの盆栽が欲しいけど、どう手入れすればいいの?」
そんな疑問を持っているあなたに、ケヤキに関する基礎知識と、季節ごとの手入れについてご説明していきましょう!
ケヤキとは?
ケヤキは、本州から南に多く自生/植樹されている樹種で、ニレ科ケヤキ属の落葉樹です。
ケヤキの樹皮は白っぽく、なめらかで、とても美しいものです。
「ケヤキ通り」などといった名前のケヤキ並木も多いですし、お寺や神社の大ケヤキが特別天然記念物や天然記念物として認定されていることもあります。
それくらい、ケヤキは古くから愛されてきた樹種です。
ケヤキは、基本的に、天に向かってぐんぐん伸びる「ほうき」のような印象の樹形です。
ですが、葉が混み合いやすいこと、盆栽ならではの特徴(小さく育てなければならない)ことから、葉や枝の管理がとても大事です。
盆栽として販売されているものの代表例は、つぎのような商品です。
ケヤキの基本的な育て方
ケヤキの育て方で大事なのは、
- ケヤキ盆栽の置き場所
- ケヤキ盆栽の水やり
の2点です。
1.ケヤキ盆栽の置き場所
ケヤキの紅葉を楽しむためには、葉に十分日光を当てなければなりません。
葉が混み合いやすい性質を持っていますので、数日に1度、鉢の向きを少しずつ変えて、内側の葉にも日が当たるように工夫をします。
ですが、ケヤキに限らず盆栽は土中の水分がなくなるのが早いので、真夏は直射日光が当たらない場所、エアコンの室外機の温風が当たらない場所に置きます。
冬の間は氷点下にならない場所、寒風にさらされない場所に置きましょう。
2.ケヤキ盆栽の水やり
ケヤキは水をとても好みますので、水切れに注意します。
用土が乾いてきたら、鉢の底から水が流れ出すまでしっかりと水をあげましょう。
水切れを起こさない工夫として、赤玉土7:砂3の割合の用土を使用し、乾きにくい環境を作ることも大事です。
基本的に、1日1度の水やりをしますが、真夏は1日2回、冬場は2日に1度を目安にしてください。
葉の緑を楽しめる時期にもかかわらず、葉が茶色になってきたら水切れのサイン。
水やりの回数を増やしましょう。
ケヤキの手入れの年間スケジュール
ケヤキにとって大事な手入れは、それぞれつぎの時期に行います。
ケヤキの盆栽の植え替えや剪定
ケヤキはとても成長が早いので、鉢の底から根が出てきていないか確認し、必要なら春先や秋に植え替えをしなければなりません。
もしも小さいまま育てたいなら、春先の剪定を丁寧に行いましょう。
ケヤキの盆栽への肥料やりは?
ケヤキに与える肥料は、4~9月までの間に3回ほどに分けてあげてください。
できれば有機肥料が望ましいのですが、ベランダで育てるようなとき、ニオイなどの問題があるのなら、化学肥料(化成肥料)でもかまいません。
盆栽用肥料としては、ニオイの気にならないつぎのようなものもあります。
ですが、ケヤキはそもそも成長が早い樹種です。
肥料を与えすぎると、枝が徒長する(不必要に伸びて間延びした印象になる)こともありますので、控えめの量がよいでしょう。
※肥料に与える肥料については、つぎの記事も参考になさってください。
ケヤキの盆栽ならではの大事な手入れ法3つ
ケヤキは、とても丈夫で成長が早く、葉を多くつける樹種です。
この点から、つぎの3点に注意しながら手入れを行います。
- ケヤキ盆栽の葉刈り
- ケヤキ盆栽の芽摘み
- ケヤキ盆栽の剪定
それぞれの必要性や、注意点をご紹介します。
1.ケヤキ盆栽の葉刈り
ケヤキはとても葉を多く茂らせ、成長の早い樹種ですので、葉刈りは必須です。
葉刈りをすることで葉枝の力を弱らせ、次に出てくる葉を小さくし、枝を細かく作ることができるのです。
ケヤキの葉刈りは、樹形をコンパクトにするためにも必要な手入れ法ですので、実践したい手入れ法のひとつです。
このとき注意したいのは、葉枝に少しだけ葉を残すようにしてカットすることです。
こうすることで、脇芽(2番芽)が出始めます。
2.ケヤキ盆栽の芽摘み
葉刈りを終えたら、その後のケヤキの状態を観察し、芽摘みをします。
葉刈りをすると、カットした葉の根元から脇芽(2番芽)が出てきます。
そして、その脇芽を十分に伸ばすと、新しい枝ができ、枝を充実させることにつながるのです。
ですが、ここで考えなければならないのは、ケヤキ盆栽の全体的なシルエットです。
元々あった枝(葉刈りをした枝)が不要なら、剪定に適した時期にカットします。
そうすれば、コンパクトな樹形を保っていられます。
ケヤキの芽切りや葉切りについて、わかりやすい動画がありましたのでご紹介しましょう。
3.ケヤキ盆栽の剪定
ケヤキ盆栽を、「コンパクトなまま育てたい」というあなたは、ぜひ剪定も行ってください。
上でご説明した葉刈りと芽摘みを上手に行えば、ある程度シルエットを美しく保つことができますが、徹底的な樹形管理には、やはり剪定が一番です。
全体を眺めて、伸びすぎている枝をカットする、希望する樹形にそぐわない枝をカットするなど、「これからどのように形作っていきたいか」を検討しながら剪定してください。
特にケヤキをミニ盆栽のまま育てたいときは、しっかり剪定をしましょう。
そもそもケヤキは丈夫な樹種ですので、思い切り剪定してもあまり心配はいりません。
ケヤキ盆栽の剪定や植え替えについては、つぎの動画が参考になります。
まとめ
ケヤキの盆栽は、青々とした葉や紅葉を楽しめるだけでなく、葉が落ちた後のすがたも魅力的です。
まさに、街路樹の風情をミニサイズで楽しめます。
また、葉刈りや芽摘みなど少々手間はかかりますが、育て方の難易度は低い方ですので、盆栽初心者の方にもおすすめです。
ケヤキといえば、昔は格式ある邸宅の庭に植えられる樹木としても多く使われていました。
そんなケヤキを盆栽として楽しむのは、ひとつの心の余裕といえるのではないでしょうか…。
「これから盆栽を初めてみたい」というあなたに、ケヤキはおすすめの樹種です。