盆栽をこれから始めようと思っているあなたは、以下のような疑問をお持ちではありませんか?
「盆栽をはじめてみたいけど、初心者の私には大丈夫?」
「盆栽入門のタイミングには、どんな道具が必要?」
「盆栽初心者は、どんな種類の植物を選ぶべき?」
せっかく盆栽に取り組もうとしているのに、初回から失敗しては残念な記憶になってしまいますね。
そのような問題を回避するため、盆栽初心者の方に知っておいていただきたいことをご説明します。
盆栽初心者は、どんな植物を選べばいい?
まず、どのような種類の盆栽を選べばいいのか、という問いから解消していきましょう。
- どこで盆栽を育てたいか
- どのような植物が好みか
この2点から解説します。
1.どこで盆栽を育てたいか
あなたが盆栽を楽しみたい場所がどのような環境か、まず確認しましょう。
盆栽は、本来大地に根付く樹木や草花を鉢で楽しむものですので、植物の種類が環境にマッチしているかどうかがとても大切です。
たとえば、西日本の温かい場所で、寒冷地に育つ種類の植物を楽しむことは難しいものです。
逆に、寒冷地で、南方の温かいエリアで育つ植物を育てるのも、とても難しいでしょう。
また、あなたが盆栽を楽しみたいスペースはどのような環境でしょう。
日当たりの調整がしづらいベランダでしょうか。
それとも、いつでも鉢を移動させやすい庭でしょうか。
盆栽への影響も考慮して、育てる植物を選びましょう。
2.どのような植物が好みか
盆栽といっても、樹木から竹、野草の類まで幅広くあります。
盆栽を育てる環境と同時に、あなたの好みも検討して、楽しい盆栽ライフを送りましょう。
樹木の姿かたちを楽しむもの、花や実を楽しむものなど、今は数多くの盆栽が販売されています。
当サイトや書籍で育て方・作り方の知識を得てから入手してください。
初心者におすすめの入門用盆栽は?
では、初心者におすすめの盆栽を具体的にご紹介します。
- 松柏盆栽
- 花物盆栽
- 実物盆栽
- 葉物盆栽
それぞれの特徴や、購入時の注意点について解説します!
1.松柏盆栽
松柏盆栽とは、松やヒノキのような常緑樹のことで、どちらかというと樹形(幹の雰囲気や枝ぶり)を楽しむものです。
針金掛けをして枝を整えたり、わざと幹の一部分を枯れさせて「神(じん)」「舎利(しゃり)」を作り風格を楽しむのが、松柏盆栽の面白さとされています。
- クロマツ
- ゴヨウマツ
- エゾマツ
- アカマツ
- カラマツ
- シンパク
- ヒノキ
上のようなものが、松柏盆栽の代表的な樹種です。
できれば、アフターフォローのしっかりしたネット販売業者や、盆栽の作り方に精通した植物販売店で購入してください。
初心者にはハードルの高い針金掛けや、神・舎利の作り方を学べる環境を整えておくことをおすすめします。
2.花物盆栽
花物盆栽は、文字通り花を楽しめる植物を盆栽に仕立てたものです。
季節を感じられることで、人気も高く、植物の種類も豊富です。
- サクラ
- サルスベリ
- サクラ
- ウメ
- フジ
- ツバキ
- コウチョウギ
上のようなものが、花物盆栽として多く流通しています。
花物盆栽も、植物の種類によっては、枝ぶりの調整や植え替えが必要ですので、できれば信頼のおけるネットショップや、地元の園芸店で購入するとよいでしょう。
3.実物盆栽
実物盆栽は、花の後に実がなる植物を使った盆栽のことです。
盆栽ならではの小ぶりの枝になる実は、自然の豊かさを実感させてくれますので、花物盆栽と同様に人気があります。
- カキ
- リンゴ
- カリン
- ベニシタン
- サンザシ
- クワ
上記のようなものが、実物盆栽の代表的なものです。
花や実をうまくつけるためには、日ごろの管理がとても大切ですので、できれば盆栽として育てたい樹種の書籍を手に入れる、何らかのときにアドバイスをくれる人を見つけておくとよいでしょう。
4.葉物盆栽
常緑樹(松柏盆栽)と異なり、新緑や紅葉、落葉を通して四季を感じられるのが葉物盆栽の特徴です。
葉にトラブルが起きても、切り取ったり、落葉を待ったりすることで次の年に備えることができますので、盆栽初心者の入門編にはおすすめです。
- カエデ
- モミジ
- ケヤキ
- ブナ
- イチョウ
- ハゼ
このようなものが、葉物盆栽の代表格です。
葉物盆栽は比較的育てやすいものが多いので、初めて育てる盆栽にはもってこいでしょう。
ですが、きれいに紅葉させるにはコツが必要。
できれば、秋冬の、葉が落ちた頃に購入しましょう。
幹や枝の状態をしっかりと確認できます。
書籍を購入して、盆栽として育てたい樹種について事前に知識を蓄えておくと安心です。
盆栽初心者に知ってもらいたい、盆栽の作り方
ここまでは、はじめての盆栽選びや、各種盆栽の代表的なものをご説明しました。
ここからは、盆栽の作り方についてご説明していきます。
- 手入れのしやすい植物を選ぶ
- 用土の選び方
- 鉢の選び方
- 入門編の道具を揃える
すでに植え付けられた盆栽を購入するのでなく、一から作ってみたい方は、これらのポイントに注意しながら盆栽にチャレンジしてください。
1.手入れのしやすい植物を選ぶ
盆栽に使う植物の種類によっては、日ごろの手入れ、年間を通しての手入れが難しいものがありますので、初心者の方はまず管理しやすいものを選びましょう。
盆栽は、本来大地に根を張る樹木を小さな鉢の中で育てるという特徴があります。
水分を多く求めるもの、小さく育てることで葉が混み合い病気を起こしやすいものなどは、避けた方が無難です。
2.用土の選び方
樹木には、水を好む/乾燥気味を好むなど、それぞれ特徴がありますので、それに合った用土を選ばなければなりません。
次の記事も参考になさってください。
Amazonや楽天市場などで、あなたの選んだ植物に特化した配合の用土を手に入れることができます。
この方法ならば、不必要に園芸用品を増やすこともありませんし、あなたが育てたい樹木に最も適した用土を用意できるでしょう。
3.鉢の選び方
あなたの選んだ植物の雰囲気や枝ぶり、大きさによって鉢を選びます。
あなたの目指す完成形に近づける期間中は、仕立て鉢(通気性・水はけを重視)を選びましょう。
一方、ある程度かたちが出来上がってくれば、鑑賞用の鉢に植え替えます。
釉薬のかかった美しい鉢と、盆栽との組み合わせを考えるのも盆栽の楽しみ方のひとつです。
失敗のない鉢選びは、
- 適度な深さ(5センチ程度/樹木の根の張り方により必要な深さは変わってくる)
- 円形のもの(どこから見ても違和感がない)
の2点で検討してください。
浅すぎる鉢は、入る用土も少ないので水やりの点で管理が難しくなります。
デザイン性の高い鉢は魅力的ですが、選び方を間違うと、樹木とミスマッチを起こすことがあります。
また、鉢は「〇号」というサイズ表記がありますが、土が何リットル入るかを目安にした呼び方であることを覚えておいてください。
たとえば、3号なら0.3リットル、6号なら0.6リットルの用土が入る、といった具合です。
そのことを踏まえながら、鉢選びをしてください。
盆栽用の鉢には、和風のものはもちろん、モダンなものも多くあります。
たとえば、次のようなものも魅力的ですね。
盆栽鉢 木瓜鉢 モッコ鉢 青色 海鼠釉 四日市萬古焼 (4.5号(約15センチ))4.入門編の道具を揃える
長く盆栽を楽しむためには、折に触れ植え替えなどの手入れをしなければなりませんので、必要な用具を揃えてください。
盆栽を取り扱うお店では、必要に応じた組み合わせの道具をセット販売していることもあります。
これからどんな手入れが必要となるかを理解したうえで、それに合う商品を購入しましょう。
最低限必要なのは、小枝をカットするハサミ、細かな作業を行うときに必要なピンセット、樹種にマッチした害虫除けの薬剤です。
次のような商品がよいでしょう。
植え替えのタイミングで手入れの用具を購入するなら、用土までセットになった商品も検討してみてください。
盆栽初心者さんが覚えておきたい、基本的な育て方
盆栽の初心者にとって、「何から準備すればいいの?」という疑問がわいてくるはずですね。
- 置き場所は?
- 水やりの方法は?
- 植え替えは?
- 針金掛けは?
- 剪定は?
いずれも「盆栽は初めて…」という方にとって悩んでしまうポイントでしょう。
それぞれの意味や理由がわかれば、少しは気が楽になるかもしれません。
1.置き場所は?
地面(ベランダでも庭でも)から50~60センチほどの高さの棚を用意してください。
特にベランダなど、夏場に高温になってしまう場所に鉢を直に置くと、日中鉢の中の水が高温となって、根を傷めてしまいます。
庭に直置きすることもよくありません。
水はけが悪くなったり、庭に住み着いている害虫が付きやすくなったりします。
真夏の直射日光に弱い植物の場合、すだれやオーニングで日陰を作ることも大切です。
2.水やりの方法は?
樹種によって水やりの方法は多少変わってきますが、季節でいえば概ね次のように覚えておくと間違いはありません。
- 春=1日1度。鉢底から水が流れ出るまで
- 夏=1日2度。日中の熱で根を傷めないよう、朝の水やりは早い時間帯に
- 秋=1日1度。春と同じく、鉢底から水が流れるのを確認できるまで
- 冬=数日に1度。霜や凍結を避けるために、昼間の温かいときに
3.植え替えは?
土の色があからさまに黒くなっていたり、水はけが悪くなっていたりすれば、植え替え時期を示すサインです。
目安としては、2~3年に1度ですが、根を張る勢いが旺盛な植物の場合はもう少し頻度が高くなるでしょう。
盆栽初心者にとって、植え替えは大仕事となります。
3~4月の春先、時間のある時にじっくりと取り組んでください。
特にミニ盆栽は、植物や鉢も小さいものですので、細かな作業が必要です。
ミニ盆栽の植え替えについては、次の動画がとても参考になります。
4.針金掛けは?
樹木の枝を希望する方向に導くのが、針金掛けです。
成長が止まっている冬の間に行うのが基本。
落葉樹の場合は、完全に葉が落ちてしまってから針金掛けをすると、枝がはっきり見えますので作業がしやすいと覚えておいてください。
まず、幹に近い部分から枝先に向けて巻いていきます。
矯正が目的ですが、ある程度のゆるみを持たせましょう。
枝が太ってきたときに針金が食い込み、それを取り外す手間が生じると同時に、見た目の美しさを損なってしまうからです。
初心者にも取り扱いやすいのは、直径2~3ミリのアルミ製針金です。
適度なテンションで巻いたあと、好みの方向に少しずつ導きましょう。
無理に力をかけると、枝が折れてしまうこともありますので、枝ではなく針金に少しずつ力を加えるようにすることがコツです。
特にミニ盆栽の場合、枝が細いので注意しましょう。
ミニ盆栽のエゾマツに針金掛けをしている動画がありますので、参考になさってください。
5.剪定は?
剪定とは、不要な枝をカットして美しく育てたり、樹形をキープしたり、樹木の健康維持のために行うもので、盆栽の基本といえる技術のひとつです。
植物の性質によって目的は異なりますが、ただひとつ共通するのは、よく切れるハサミを使うことです。
切れないハサミで枝を押しつぶすようにカットすると、幹まで傷つけてしまうことがあるからです。
盆栽入門は、ある程度仕上がったものの購入がベスト
ここまでみてきたように、盆栽初心者にとって取り組みやすいのは、すでにある程度仕上がった盆栽を手に入れて、盆栽の世話に慣れていくことです。
「水やり3年」という言葉があるように、盆栽のお世話の基礎は水分のコントロールです。
まずはそこから身に着けるため、鉢に入った状態で売られている盆栽を手に入れましょう。
盆栽らしい盆栽を、ミニサイズから育ててみるのはいかがでしょう?
たとえば、ゴヨウマツは育てやすく、剪定や針金掛けも一通り経験できます。
ミニ盆栽だからこそ気軽にチャレンジできるという面もありますので、一度購入を検討してみるのも悪くはないでしょう。
まとめ
「盆栽初心者には、何が必要なの?」
今回の記事では、盆栽入門時にあなたが経験する疑問について幅広くご説明しました。
植物や鉢、道具を一から揃えて盆栽をはじめるのも楽しいでしょう。
好みの植物と鉢の組み合わせを実現できます。
ですが、もしも「すべてを揃えるのは難しい」「うまく植え込むことができるか不安」と思われるなら、ミニ盆栽からはじめてみるのもひとつの方法です。
これなら、植え替えや剪定、針金掛けなど必要なタイミングで道具を揃えていけばよいので、気軽に盆栽にチャレンジできます。
また、盆栽の管理法、特に水やりから慣れていくことができますので、盆栽入門には最も適した方法かもしれませんね。