「盆栽を苗木から育てたい」
「種から芽吹かせて盆栽にする作り方を知りたい」
あなたは、盆栽を「ちいさな苗木から育てる方法」について知りたいと思っていらっしゃいますね?
盆栽を苗木から育てるには、まず苗木を入手するところからがスタートです。
今回は、どこで手に入れられるのか、どのようなところに注意して販売業者から買えばいいのか、自分でも作れるのかなど、盆栽の苗木にまつわることについてご説明します!
盆栽の苗木を手に入れる前に知っておきたいこと
盆栽用の苗木を入手する前に、知っておかなければならないことがいくつかあります。
事前知識を得ておかなければ、「せっかく苗木を手に入れたのに植え方や育て方で失敗した」ということにもなりかねません。
そんな問題を回避するため、苗木入手に関しての知識をつけておきましょう。
樹種の「性(しょう)」を知る
木だけでなく、植物全般にいえることに「性(しょう)」を知っておくことが大事です。
性(しょう)とはその植物の性質のことで、
- 芽の出方
- 成長の速度
- 大きくなるか/大きくならないか
- 暑さや寒さに強い/弱い
といった点に注目して樹種を選んでください。
盆栽は、「鉢に植え、少ない用土で育てなければならない」という一種の制限のようなものがありますので、できれば大きくなりにくい「矮性種」を選ぶとよいでしょう。
また、あなたの住んでいるエリアに合わせ、暑さ/寒さに強い樹種の苗木を選ぶと、育て方で悩むことも少なくなるはずです。
苗木の入手前に、「どんな樹種なら自分にも育てやすいか」を知っておけば、盆栽の作り方で失敗することがなくなるでしょう。
元気のよい苗木かどうかの見分け
盆栽にしたい苗木が元気か、病気にかかっていないかを見分けることもとても大切なポイントです。
葉がついているべき時期に極端に葉が少ない苗木、葉に茶色っぽい部分・黒っぽい部分・白っぽい部分のある苗木は何らかの病気かもしれませんので、入手を避けるべきです。
根元や枝の付け根に何かコブのようなものがあれば、「こぶ病」「癌腫病」の可能性がありますので、これも避けた方がよいでしょう。
盆栽の苗木を入手できる場所
では、盆栽の苗木はどこで手に入るのでしょうか。
苗木が手に入る場所と、その特徴についてご説明しますのであなたに合った場所を選んでください。
盆栽も取り扱っている植物専門店
これから盆栽を始めようかな、と思っている方にとって安心な苗木の入手先は「盆栽も取り扱っている植物専門店」です。
そもそも盆栽を取り扱っているお店ですので、店主やスタッフの方もある程度は盆栽の知識を持っているはず。
苗木の選び方や、育てている間の心配事にも、気軽に相談に乗ってくれるでしょう。
盆栽を取り扱う植物専門店の中には、盆栽の勉強会を開催しているところもあるでしょう。
そんなお店なら、さらに安心です。
ちなみに、ネットショップの中でも、こまめにメールや電話で相談に乗ってくれるお店はこちらです。
ホームセンター
ホームセンターでも、ここのところのミニ盆栽ブームを受け、盆栽の苗木を含む植物を売っています。
ですが、店員さんすべてが植物や盆栽の苗木について知識を持っているわけではないこと、盆栽用品の品ぞろえがまちまちであることを考え合わせると、あまりおすすめはできません。
ホームセンターでの購入は、ある程度盆栽の苗木を見極める知識がついてから、がよいでしょう。
植物にまつわるイベント
植物展示販売といった、各地で開かれているイベントでも盆栽の苗木を購入できます。
盆栽展示会会場の片隅に、盆栽販売ブースが設けられていることもあるからです。
また、植物全般を対象とした市も、日本各地で定期的に開かれます。
もしも、イベントを見つけられない場合、次のサイトが役に立ちます。
※入場料が必要なこともありますし、販売ブースが設置されないイベントもあるかもしれませんので、事前に問い合わせをすると安心です。
通信販売(ネットショップ)
最近、室内やベランダで植物を楽しむ方が増えているのを受けて、通信販売(ネットショップ)でもミニ盆栽や苗木を購入できるようになってきました。
わざわざ店を回る必要がないうえ、多くの種類の盆栽や苗木を探せるのでとても便利ですね。
ですが、苗木の現物を見られないこと、ショップスタッフが盆栽に詳しいかどうかがよくわからないことがネックになることもあるようです。
そのような失敗を避けるために、「盆栽専門通信販売業者(ネットショップ)」で購入するようにしましょう。
そのような店ならば、メールや電話で育て方・作り方の相談ができるはずです。
できれば、定期的にメールマガジンを配信してくれるショップ、もしくは盆栽にまつわるブログ記事が多いショップを選んでください。
山や公園で採取
山や公園でも、盆栽に仕立てるための苗木を手に入れられます。
樹木の足元を見ると、自然に落ちた種が芽吹き、ちいさな枝を伸ばしているのを発見できるかもしれないのです。
ですが、ひとつ注意が必要です。
その山や公園の管理者に、「苗木を採取していいか」を聞いてみましょう。
森林法/自然環境保全法/県立自然公園条令など、山林や公共の公園を適切に保つためのルールがありますので、必ず確認しなければなりません。
これは、落ちている種でも同じです。
盆栽に向いている苗木が手に入りそうな場所としては、神社が挙げられます。
社務所に行って、「あそこにあるちいさな苗をもらえませんか?」「落ちている種を拾ってもいいですか?」と聞いてみてください。
案外すんなりOKがもらえるかもしれません。
盆栽の苗木の種類
では、盆栽の苗木にはどのような種類があるのでしょうか。
樹種のことではなく、どのように育てられた苗木なのか、ということです。
これを知っておくと、育て方に関する知識も少し増えますので、覚えておきましょう。
実生苗
実生苗は、文字通り「種をまいて発芽させた苗木」のことです。
種の栄養を利用しながら成長しますので、これ以降で取り上げる苗の作り方のものより元気で長持ちするともされています。
ですが、実際に盆栽作りに入れるまで、数年かかることは理解しておいてください。
その代わりといってはおかしいですが、芽が出て、少しずつ成長していく姿もまた愛らしいものですので、気長に楽しみたい方には向いているかもしれません。
接ぎ木苗
丈夫で生命力たくましい樹木を台にし、それに近しい樹種を接いで育てた苗木を「接ぎ木苗」といいます。
接ぎ木苗は、果物の品種改良にも使われますが、松類・雑木類の盆栽でも使われる手法です。
接ぎ木苗を購入するときは、接いだ部分の傷が小さいもの、接ぎ木した上部(穂木といいます)が十分に元気であることを確認して購入しましょう。
なお、ある程度植物についての知識がなければ接ぎ木苗を作ることはできません。
挿し木苗
大きな木(親木)から採取した枝(挿し穂)を土に挿しておくことで、根が出てきたものを「挿し木苗」といいます。
発根させるためには、意外に深く土に埋めなければなりませんので、ときとして根から枝までの間が長すぎてうまく盆栽として作れないこともあります。
ですが、販売されているものなら園芸農家さんが正しい作り方をしてくれていますので、あまり心配しなくても大丈夫です。
もしもあなたがご自分で挿し木苗を作ってみたいときは、失敗しないよう、誰か詳しい人に聞きながら作業する必要があるでしょう。
取り木苗
親木の見栄えの良い枝をカットし、切断部分近辺の樹皮をはがしてコケなどで覆い発根させたものを「取り木苗」といいます。
ある程度太い枝でも苗木にできますので、早い段階で盆栽の完成形に近い状態を作れます。
もしもご自宅やご親戚、仲の良いお友達の家の庭に気になる木があれば、一部切っても良いか相談してみてください。
「どのみち、剪定するところだった」というタイミングなら、取り木苗のモトをもらえるかもしれません。
まとめ
盆栽用の苗木は、いくつもの作り方があります。
自分で種から育てるのも、剪定した枝をもらってきて挿し木や取り木にするのもOK。
ですが、事前にその樹種の特徴を知っておかなければ、苗木作りはうまくいかないかもしれません。
とはいえ、盆栽の素材となる苗木は、市や展示会、ホームセンターやネットショップでも購入できます。
「盆栽」として仕立てられ売られているものではなく、苗から盆栽づくりをしてみたい方にとって、苗木選びはとても楽しいものでしょう。
苗木を購入するときは、元気で病気のないものを選んでください。